【はじめに】
 我々は、生を受けてからこれまで何を成すにしても、先人たちの礎の基に切り拓かれた道を歩んでいます。そして、時代に沿った変化を繰り返しながら、受け継いできた心を守り磨きながら進化を重ねてきました。この世にひとりの力で生を受けた訳でもなく、ひとりで存在しているのではありません。両親や友人、仲間との協調性をもち何事も多数で成し遂げてきたと言っても過言ではありません。それは、今も昔も変わらない「ひと・団体」の在り方であります。
一般社団法人愛知中央青年会議所は、1981年に「時は無限、利は自然の恵み、人の輪は三河の心と尾張の才知 青年の町三好は自然との調和のもとに発展の途上にある。 我々はその『英知』と『勇気』と『情熱』をここに結集する。」という高い志により前身である愛知三好青年会議所として誕生しました。38年間の歴史は、近年の運動・活動から形成されたものではなく、先人たちがそれぞれの時代を見つめ直し、運動を展開してこられ、歴史を繋ぐ基軸となる「地域の百年先(みらい)の為に」という志は決して変わる事なく共有されてきました。この国やまちに未来があるように、我々愛知中央青年会議所も「明るい豊かな社会の実現」という未来の在るべき姿を模索し続け、知恵や経験という財産を設立以降38年間繋いできた根底には、その時代には「何が必要なのか」、「何をしなければならないのか」の問題点と改善点をバトンという形で引継ぎを続けてきた結果であり、一貫して地域の発展に寄与した「百年先(みらい)を見据えた行動」の蓄積である事は忘れてはいけません。この地域に集う我々青年経済人が、明るい豊かな社会の実現の為に、誰よりも率先して地域の新たなる一歩を踏み出さなければなりません。その為にも、現在のJC運動・活動に対する波及効果や目的達成の先を見越して、JCとして進化しなければならない岐路に立たされていると感じています。「今までのJCでは」という、経験を基にする考えばかりではなく、「これからのJCは」という新たな視野を持って臨む必要があると考えています。
JCでは、「ひとはひとでしか磨かれない」とよく言われるように、一人ひとりが切磋琢磨する事で、魅力的なひとへと成長して自立します。自立した会員が、一般市民への意識の変革に繋がる運動・活動を起こして共助に繋がるものと感じています。ひとが変われば、それに連動してまちが変わるきっかけとなり、まちが変われば国も動かせるという意識の下、人間力・地域力を高めたいと強く願っています。愛知中央青年会議所の運動を通してその可能性を追求する中で、一人ひとりの朧げなアイデアを紡いで知恵に変え、全力での行動を実現する。そんな運動が実現できたとき、当事者意識と高い志を併せ持つ、まちと企業と市民のパワーにより、明るい豊かな社会は実現します。
その為にも、従来通りの進め方だけでなく、先人たちから受け継いできた心と、決して変わる事のない「地域の百年先(みらい)の為」という志を胸に、もう一度原点へ立ち返る事で新たな未来が切り拓かれるものと信じています。
 
【JAYCEEとして】
 この地域が発展する為には、そこに集う地域住民が魅力的で、地域が発展する事で祖国である日本が更に輝くものと信じています。その為には、日本JCの「2010年代運動指針」にも謳われている「自立」と「共助」が重要であると考えます。「世の為、人の為が自分の為」という、他を思い遣る「公」の精神を意識して運動・活動を行う必要があり、JC会員として、自身が研鑽を重ね、可能性に挑戦し続ける事が我々の使命です。
JC運動・活動の本質の中に、「ひとづくり・まちづくり」があるのは言うまでもありませんが、向かう方向性は「明るい豊かな社会の実現」であり、それに対する奉仕です。住みよいまちづくりを実現するには、文明や歴史だけでなく、そこには心の拠り所となる文化が必要であり、それらを守れるのは地域住民の力です。その「明るい豊かな社会の実現」への架け橋となり、人々の幸せに貢献する青年こそ我々JAYCEEであると確信しています。
2011年に発災した東日本大震災以降、国内では多くの自然災害が発生してきました。どんな国内混乱時においても秩序を保ち、耐え忍ぶ被災者を国民が支援する姿も同様に経験しています。有事の際に日本人としての他を思い遣る「美徳」が垣間見え、日本人としての誇りを再認識する事ができます。2017年九州北部豪雨災害においても同様に、災害対策本部にJCが常駐し、被害状況の確認や支援物資の要望内容確認から受け入れを全国各地695青年会議所へ速やかに伝達を行えるネットワークや災害復旧の為に事前に社会福祉協議会との連携を行ってきました。このように、日本人として「利他の心」を持ち合わせ、人々の幸せや痛みに率先して行動する青年であり続けなければなりません。
 
【次世代の人財】
「相手の為に利害を考えず尽くす」とは何も特別な事ではなく、協調性をもって人と対峙する事は自然と日常の中で繰り返し行われてきました。これは、自己犠牲と言った仰々しいものではなく物事を相手の目を見て、話を耳で聞くといった相手を慮る心です。この心はいまを生きる日本人にも備わっており、失われている訳ではないと感じています。こういった、当事者意識を持つ市民が更に増える事により、活力溢れるまちへと進展します。その上で必要な事は、市民間交流や未経験の物事を体験させる事であると考えています。人は己自身で出来る事は限られているが、様々なコミュニティーを利用する事で補っています。この様に、学校やクラブ活動、日常で体験し難い事項を経験させる事が、参加者のみならず、設営する会員をも成長させる事に繋がると確信しています。
 
【地域との共存共栄】
 我々の活動地域は、日進市、みよし市、長久手市、東郷町と各市町を跨いで行っており、広域に運動発信を行っている我々にしかできない運動があると考えます。社会課題を数字で表せば未来は見える形になり、目指すものを多くの人と共有することができます。既に世界にはSDGsという明確な17の目標が示されています。国際協力だけでなく、自社や社会を良くするためのSDGsの目標に対して地域の企業ができることを進めていく運動を作る必要があります。そして、力あるパートナーとともに、世界中でSDGsの推進に向けて活動する我々の仲間とのつながりを強め、より力強い運動を発信します。この地域に居ながらできる国際支援、社会改善もあるはずです。
 
【会員拡大】
 会員拡大は青年会議所活動の基礎であります。
「20歳から40歳までの品格ある青年」という定款で定められたJC組織の宿命として、卒業による会員数の減少は避けられません。その組織を存続させ、「明るい豊かな社会の実現」というJAYCEEの使命には、未来を担う新たな会員の入会が必要不可欠です。国内の総人口と共に日本JCの青年会議所数・会員数が減少している中、近年、愛知中央青年会議所の会員数も減少傾向にあります。会員拡大には、熱意と多くの人を巻き込む必要があり、いかに会員自身に会員拡大の使命感を理解してもらうかが重要であると考えます。会員拡大委員会が新入会者獲得の意義や効用などを会員へ周知徹底する事で、会員への使命感に繋げたいと考えています。
会員の中には、営業力の優れる者や地域発展の為に率先して行動する姿勢を見せてくれる者、コミュニケーション能力に優れる者がすぐ隣にいます。こうした、他人の優れた部分を肌で感じるのも私はJCに入会・仮入会を勧める一つの理由です。自分に時間がない場合に「出来ない」という結論を出さず、組織をいかに成長させる為に「どの様な行動を起こせるか」等の「それを行う為にはいま何をしなければいけないか」を考え出せる青年経済人の集う場にして欲しいと願っています。
 
【交流で広がる青年会議所活動の輪】
青年会議所活動をおこなう上で、会員同士、地域の方々や先輩諸兄との交流は欠かせません。まず、会員同士の交流は、円滑な組織運営に必要不可欠であると考えます。地域の方々と密な交流は青年会議所を地域に根ざす根幹へと繋がります。また先輩諸兄との密接な関わりを続けることは、先人たちの知恵を我々にもたらせてくれます。
本年度、愛知中央青年会議所の交流活動は、会員同士だけに留まることなく、交流の輪を青年会議所外へと展開してまいります。
 
【この地域と人々の未来のために】
この愛知中央青年会議所は来年、創立40周年を迎えます。39年前の先輩諸兄の熱い想いを受け継ぎ、40周年という一つの節目を迎えるにあたり、本年度しっかりとした準備をして来年へ繋げる必要があります。まずは創立35周年から受け継がれてきた中期ビジョンを振り返り、継承しなければならないものは継承し、次の未来に合わせたビジョンも盛り込んでこれから先の三市一町のリーダーを育成するひとづくり、地域に根ざしたまちづくりを我々は提案・実行していきます。
 
【楽しめるJCを目指して】
JCは会員の見聞を広げることができる多くの魅力ある事業を提供しています。このような対外事業や出向に対する意義、魅力、楽しさをしっかり伝え、一人でも多くの会員が参加できるよう楽しめるJC活動を目指すことが大切だと考えます。そうした中で体験した出来事、学ぶ楽しさをフィードバックしていくことで周囲の人の意識を変え、愛知中央青年会議所の活性化につなげていき、周囲の人を巻き込んでいくことができる環境づくりを実施します。
 
【盤石な組織基盤の形成】
組織には定められたルールに沿った組織運営を行う必要があります。定款や諸規則に則って組織を動かす事で締りある運営に繋がるのです。一般社団法人格を持つJCであるからこそ、その締りある運営が組織を活性化させ、参加する者の心を動かしていけるものと信じています。
毎月開催される例会は、会員全員が集い、方向性を一つにするかけがえのない時間であり、愛知中央青年会議所の力量が試される大切な機会です。「セレモニーを見れば、青年会議所の力量が見える」とも言われるように、例会の進行から配布物の置き方さえ、一つひとつの行動に凡事徹底を行う事で入会歴の浅い会員に、JCとして活動する事の期待感さえ抱かせるものと感じています。また、総会・例会の堅実な運営を行う事は、「学ぶ意欲」に繋がり、会員拡大や会員育成、魅力ある団体へと繋がる正のスパイラルへと続いて行きます。
委員会・例会・事業と学ぶ機会がある中、それらの補助で会員が堅実な組織運営に触れ成長をする事で、出席は義務であるという風土を定着させたいと考えます。また、運営の中で学び、会員は定款・諸規則を理解し、更なる自己研鑽に努め、より良い組織構築に直結する事を期待しています。JCとしてのルールを遵守し、組織全体の意識の高揚を図れるプロフェッショナルでなければならず、愛知中央青年会議所一つにまとめ上げる工夫を凝らし、JC運動・活動の基盤を固める必要があります。
 
【結びに】
 生まれ育った場所や環境は違っても、地域の発展という向かうべき目的は一つです。一人ひとりの姿勢を我々は共有し、更に結束を強く持つ必要があります。また、全力で一つの物事に向き合ったからこそ、大人が涙するのです。目の前にある事から逃げずに、出来る方法を探る。いま居る立ち位置から少しだけ背伸びをする。この様な「目標達成の為の計画」という考えに行き着くだけでも成長であり、JCに入会するメリットであると感じています。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という初代ドイツ帝国宰相のオットー・フォン・ビスマルクの言葉にあるように、自己の経験で物事を図ろうとすれば、必ず人生には幾度の失敗が付いてきます。しかし、我々には先人の歴史や経験を知る事ができ、事前に問題点や課題を見る事ができます。これは、38年という先人から引き継いできた歴史があるからこそであり、歴史を繋ぐ基軸となる「地域の百年先(みらい)の為に」という志は決して変えてはいけません。そして、受け継いできた心を守り磨きながら、自らが変化を起こし、その先頭をJCが駆け抜ける。時代に沿った手法で価値を進化させる事が、いまを預かる我々JAYCEEの使命なのです。